地球温暖化対策のために国民の多くが、省エネルギー住宅の建設に関心を寄せつつあります。そのためには、住宅の高断熱化や再生可能エネルギー設備の導入が求められます。さらに、化石燃料の使用を抑制することや、温室効果ガスの排出を抑制することも重要なことです。
東京における年間の日照時間は全国平均を上回る1921時間もあります。この日射をエネルギーに変換するには、太陽光発電投資をすることが求められます。高効率給湯設備やLED照明などの採用によって、必要以上にエネルギーを消費しない住宅建設に寄与することになります。ハウスメーカーや地域ビルダーが主体となった取り組みに期待するところです。
住宅建設に伴う再生可能エネルギーの活用法
日本における地球温暖化対策として取り組まなければならないことは、公共建築物はもちろんですが、これから建設される新築住宅において、いかにエネルギーを使わずに快適な性能を求めるかということです。ただ単に断熱材を厚くすれば良いという短絡なことではなく、住宅全体のエネルギー消費量を抑えると同時に、化石燃料などを使用せずとも快適な暮らしを実現する設計が求められます。
ゼロエネルギー住宅では、外皮計算による断熱効率の良さを設計し、一定以上のエネルギーの削減率を実現する設計をしなければいけません。さらに、太陽光発電等による再生可能エネルギー設備を設置することで、一次エネルギー消費量の収支をゼロにするように設計を行ないます。ランニングコストを削減しつつ、売電により収支がプラスマイナスゼロもしくは多少プラスになるような住宅がこれからの新築住宅のスタンダードになるよう、国がバックアップをしています。
再生可能エネルギーの設備として代表的なものは太陽光発電ということになりますが、近年では風力発電にも大きな注目が集まっています。東京都心ではビル風などはあっても自然風はそれほど多くないことも考えられます。しかし、海岸沿いや郊外の平地においては遮るものが少ないため、ある程度の風力を確保することはできるでしょう。プロペラ式の風力発電機は大型でなければ効率よく電力を創り出すことは難しいようですが、小型で全方向からの風を受けるタイプの発電装置は効率よく風力を電力に変換することが可能です。
まだまだ一般住宅向けには商品開発が追い付いていない現状もありますが、風力であれば天候や日照、夜昼の区別なく風さえ吹けば電力を創り出すことができるので、これからに期待したいところです。また、水力発電なども大きな河川やダムなどによる大型発電施設でなくても、小川程度の流量でも発電することも可能です。自然にある太陽光、風、水などを活用することで、地球温暖化防止に役立つ家づくりは今後も増えていくことでしょう。
太陽光発電の問題点を解消する方法
ゼロエネルギー住宅等での採用が一番多い再生可能エネルギー設備は、圧倒的に太陽光発電です。これをいかに効率よく稼働させるかによって、一次エネルギー消費量の収支に大きく影響を及ぼします。まず、電力を創り出す条件は日射があることです。日射がないことには電気を創り出すことは不可能です。また、創り出した電気を使うことで、電力会社からの供給を限りなくゼロにしなければ収支がゼロになることはありません。
一方で、共働き世帯を想定すると、日中に創り出した電気を日中に使うことはほとんどないことがわかります。つまり、せっかく太陽光発電投資をしたにも関わらず、創り出した電力を消費することなく、夜間は電力会社の電気を使用するとなれば全く無駄なことになります。
もちろん、創り出した電力のうちで、使用しなかった余剰電力を買い取る制度があります。それは10年間固定買取制度で1kWhあたり48円で10年間買い取ってくれる制度です。ところが、2009年に開始した制度が今年10年目を迎えます。2019年からは24円に買取価格が下がるようですから、それまでランニングコストの収支がプラスマイナスゼロもしくはプラスだった世帯は、もしかしたらマイナス収支になることも想定されます。
そこで、考えられる対策としては、蓄電池を置くことです。日中に創り出した電力を蓄電池に貯め込んでおき、仕事から帰ってきてからの夕方から夜間にかけて使用するのです。この方法だと、電力会社から供給がなくとも自分で作った電力を使用することが可能になるため、再びランニングコストを下げることができます。ただし、太陽光発電システム導入におけるイニシャルコストを軽減する補助金については、国からのものはなく、自治体からの補助金があるかどうかという程度です。しかし、地域型グリーン化事業のゼロエネ住宅に関しては、125万円もしくは140万円の補助が受けられる可能性がありますので、請負契約を結ぶ前に建設会社に確認をすることが大事になります。
蓄電池や電気自動車の活用によるトライブリッド
太陽光発電投資により、化石燃料等の利用を極力減らすことの可能性が広がりましたが、一方で太陽光発電方式そのものの欠点も明らかになっています。つまり、創り出した電力の有効活用ができるシステムや、余剰電力の買取について不備がある点です。これらの欠点を補い、地球温暖化防止に貢献する住宅建設や暮らし方を考え、トータルでエコな生活をする人がどんどん増えてくることが、私たちの地球を守ることにつながります。
そのためのキーポイントは「蓄電池」と「電気自動車」ということが言えるでしょう。蓄電池や電気自動車は、日々進歩発展を続け、太陽光発電システムとあわせて「トライブリッド蓄電システム」という言葉も出始めました。トライブリッド蓄電システムというのは、太陽電池モジュール、家庭用蓄電池、電気自動車内臓蓄電池の3つを連携させるシステムのことを言います。
これからは、各家庭におけるトライブリッドシステムを活用することを国も奨励するのではないかと思います。つまり、トライブリッドシステム活用住宅の建設には環境省もしくは国土交通省から補助金が出る可能性があります。発電システムにより創り出した電力の固定買取制度の単価が下がり、やがて制度がなくなることを想定すると、今後はより進んだシステムに対して国が支援するのは当然の流れと言えるのではないでしょうか。
ただし、ゼロエネ住宅の補助金など、国からの支援は併用ができないことになっているためその辺を国がどのように考えるかにかかっています。いずれにしても、これから新築住宅を建設する計画がある方には、是非とも「トライブリッド蓄電システム」の導入を積極的に検討してもらいたいと思います。
太陽光発電システムを活用した地球温暖化対策に貢献する住宅建設において、さまざまな問題点があることがわかりました。同時に、今後の住宅建設における明るい展望などもわかっていただけたと思います。東京などの首都圏においては、太陽光発電に重要な日照時間も全国平均以上のものがあり、より効率的な活用ができる可能性があることもわかっています。新築住宅を建設する際には、間取りや設置する設備機器やデザイン、配色なども重要な要素になりますが、同じように省エネ性能についても十分な理解が求められます。設計事務所に相談したり、建設会社の営業担当者と入念な打ち合わせをすることで賢いライフスタイルを実現してもらいたいと願っています。全てを自分の力だけで取り組むのではなく、資金計画においても国や自治体の補助金を上手に活用しながら、エコな住宅建設とは何かを考えてもらいたいと思います。