東京で太陽光発電投資をしようとしている場合、費用だけでなく、太陽光パネルの寿命が気になるという人も多いでしょう。
今回は、どれぐらいの寿命があるのかや、経年劣化の原因、そして劣化などを防ぐ方法について紹介します。
太陽光パネルの実際に寿命はどれぐらいなのか
太陽光パネルや太陽電池は、本来、消耗して発電をおこなうものではないため半永久的に使うことが可能です。電卓などにも太陽電池が使われているものが多くありますが、古いものでもずっと使えるのはそういった理由があるからです。
しかし実際には、太陽光パネルの場合は屋外に設置され、炎天下や風雨にさらされることになるため、本来の特性は半永久的であっても長い期間使っていると劣化していきます。真夏の炎天下では表面温度が80度近くになると言われていますし、風雨にさらされれば、湿気などによる影響も出てくるでしょう。特に日本の場合は高温多湿な気候になっているため、温度や湿度による影響で劣化しやすい環境にあると言えます。
実際の寿命がどれぐらいあるのかということについては、まだ十分な実証データはないのですが「20年~30年程度」というのが一般的な目安になっています。しかし一部の太陽光発電システムでは、すでに30年以上稼働し続けているという報告もありますし、今後の技術力向上によってはもっと長い期間の稼働が期待できる可能性もあるでしょう。耐用年数に関しては、出力10kW以上の産業用の場合は、国が定めた法定耐用年数が「17年」と定められており、その年数に従って減価償却をおこなうことになります。しかし出力10kW未満の住宅用の場合は、自宅に取り付けて余った分を売電しているケースでは減価償却資産にならないため、法定耐用年数が適用されません。
また太陽光発電システムのメーカーでは、25年程度の出力保証をしているのが一般的ですし、中には30年保証をしているところもあります。ですので、どれぐらいの期間使えるのかということは、法定耐用年数やメーカー保証、そしてデータ上の目安を参考にして考えるとよいでしょう。
経年劣化を起こしてしまう原因は何か
太陽光発電システムは、炎天下や風雨にさらされる状況の中に設置されるため、経年劣化を起こすのが普通です。その原因になるものとしては、太陽光パネルによるものと、パワーコンディショナーによるものがあると言えるでしょう。
まず太陽光パネルについては、「設計や製造工程の際の初期不良」が原因で起こるものが挙げられます。太陽光パネルは、セル(半導体)と呼ばれる発電素子を、保護材や強化ガラスなど守るような構造になっています。しかし製造上の欠陥があると、湿気が内部に侵入したり、セルがクラックを起こしてしまうなどの原因になり、急激な劣化につながってしまうことがあるのです。
こうした急激な異常劣化には、部分的に熱を帯びてしまうホットスポットと呼ばれる現象があります。このホットスポットには、はんだ付けの不良が原因になっている場合があり、接着が甘いと何らかの負荷がかかったときに外れてしまい、電気抵抗を生じてしまうことがあります。このはんだ付けの不良は、外から見て発見することが難しく、ひどいケースになると漏電によって火災を引き起こしてしまうこともあるため注意が必要です。またホットスポットには、太陽光パネルを構成している部材同士が剥離し、電気抵抗が発生するというケースもあります。これは、部材同士の密着力が弱いために発生するのですが、太陽光パネルが白っぽく見えるようになるのが特徴です。この状態を放置しておくと、剥離した隙間に空気が入ることで電気抵抗が生じ、発熱や出力の低下につながってしまうこともあり得ます。
太陽光パネルでは、「パネル表面の汚れ」によっても経年劣化を起こしてしまう場合があります。黄砂やPM2.5、そして花粉といった細かな浮遊物質は環境問題や病気の原因になったりするものとして知られていますが、実はこれらの浮遊物質は、太陽光パネルを劣化させる原因にもなるのです。これらの物質がパネルに付着すると太陽光を遮ることになるため、出力が低下してしまうということもありますが、問題はそれだけではありません。特にPM2.5は、パネルに付着した状態を放置しておくと、後で取り除こうとしても汚れが落ちない場合があると言われているのです。また太陽光パネルの汚れは、洗うことでキレイにすることができますが、水道水を使うとカルキが付着してパネルの表面が白濁してしまうということもあります。さらに汚れを落とすためにブラシでごしごし擦ったりすると、パネルの表面が傷だらけになってしまうということもあるでしょう。パネルの表面が汚れてしまった場合は、発電出力が5%~10%程度低下してしまうと言われているため、よく注意しておく必要があります。
次にパワーコンディショナーについては、太陽光パネルとは違って機械的な故障な起こりやすい部分だと言えるでしょう。パワーコンディショナーは、直流の電気を交流に変えるための機器なのですが、一般的には10年程度で交換する必要があるとされています。太陽光発電システムを20年稼働させることを検討するのであれば、パワーコンディショナーの交換が1回は必要になるということになるでしょう。パワーコンディショナーの交換費用に関しては、低圧(50kW未満)の場合は1kWあたり3万円程度で、高圧(50kW以上)の場合は1kWあたり1.5万円~3万円程度というのが相場です。そして機器交換ではなく、基盤交換などの修理で済む場合であれば、機器交換の3分の1程度の費用に抑えることが可能です。またパワーコンディショナーは、10年保証をしているメーカーもあるため、そうした保証がある場合は10年未満で壊れても無償で交換してもらうことが可能でしょう。
破損や劣化を防ぐための方法について
太陽光発電パネルを長く使うためには、できるだけ劣化を防ぐことが必要になりますが、そのためにはまずパネルの素材選びが重要です。パネルの素材は1種類ではなく、単結晶シリコン型やCIS、そしてHITなどの複数の種類があります。この中でもっとも経年劣化に強いとされているのがCISであり、逆に劣化しやすいのは単結晶シリコン型だと言われているので、選ぶ際はこの点もチェックしておくとよいでしょう。
劣化を防ぐためにもう1つ重要なのは、定期的なメンテナンスしっかりとおこなうことです。改正FIT法という法律では、4年ごとのメンテナンスが義務付けられているため、メンテナンスはそれに従っておこなうとよいでしょう。しかし、破損を防ぐためにはその原因にもなり得る雑草を除去するといった作業も必要になります。また、不用意に人が侵入してパネルなどを壊さないように、敷地の周りにフェンスを設けておくといった対策が必要になる場合もあるでしょう。
太陽光パネルの寿命は、一般的には20年~30年程度と言われており、出力10kW以上(産業用)の法定耐用年数は17年になります。経年劣化を起こしてしまう原因については、設計や製造工程の際の初期不良や、パネル表面の汚れによるものがあると言えるでしょう。そして破損や劣化を防ぐための方法については、パネルの素材を選ぶ際は劣化しにくいものかどうかをチェックすることや、定期的なメンテナンスをしっかりとおこなうことが挙げられます。