土地付き太陽光発電物件は利回りが高く低リスクであることから注目度が高まっています。しかも、古いものほど売電価格が高いため中古の土地付き太陽光発電に大きなメリットが生まれています。今回は増加している中古の土地付き太陽光発電の現状と中古物件を購入するメリット、購入時の注意点、購入までの流れについて解説します。
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土地付き太陽光発電の中古物件が増えている
近年、土地付き太陽光発電の中古物件が増加し市場が活性化しています。どうして、中古物件が増加したのでしょうか。
1つ目の理由は法定耐用年数が過ぎ節税目的が達成されたからです。太陽光発電設備の資産価値は設置・購入から年数がたつごとに減少します。資産価値が目減りする分を経費として計上する減価償却の期間は対象によって異なります。太陽光発電設備の場合は17年と定められていて、17年間は減価償却費分の節税が可能です。節税目的を達成した所有者が太陽光発電を売却するケースが増えているのです。
2つ目の理由は景気減速に対応するため現金が必要となったからです。2020年以降のコロナ禍や2022年の世界的な金利上昇・インフレなどで収入が減り、現金が必要となった人たちが太陽光発電を売るケースが見られるようになりました。
以上の理由からまだ充分利用できるにもかかわらず、土地付き太陽光発電を売却する人が増えたため中古の土地付き太陽光発電市場が活発になっているのです。
土地付き太陽光発電の中古物件を購入するメリット
土地付き太陽光発電を中古で購入するメリットは何でしょうか。
1つ目のメリットは発電や売電の実績があらかじめわかっていることです。新規で建設する場合、発電量や売電収入はあくまでも見込みです。実際に稼働させてみるまで不確定要素が多いため、事前のシミュレーション通りにいかないことも珍しくありません。しかし、中古の太陽光発電設備であればすでに何年も稼働しているため、発電量や売電実績に関するデータがあります。そのため、購入しようとしている太陽光発電設備から得られる収入をかなり正確に予想できます。
2つ目のメリットは売電単価が高いことです。太陽光発電で生み出された電力は、固定価格買取制度によって電力会社が一定の金額で買い取ることが定められています。買取金額は年度が前のものほど高く設定されています。資源エネルギー庁が公開している買取価格を見ると、2022年の買取価格は1kWあたり12円(10kW以上50kW未満の発電設備)であるのに対し、2019年であれば14円、2017年であれば17円と定められています。買取期間が20年であることを踏まえると、2019年に設置されたものなら17年間、2017年なら15年間も買取機関が残されています。高額で買い取る期間が10年以上残されている中古の太陽光発電設備は利回りの大きい資産だといえるでしょう。
3つ目のメリットは融資が受けやすいことです。銀行などの金融機関が融資する際、資産価値と同じくらい重視されるのが運用実績です。新規の設備の場合は運用実績が未確定で見込みでの融資となるため審査が厳しくなります。しかし、中古物件の場合はすでにデータが存在しているため金融機関にとって判断材料があることから比較的スムーズに融資してもらえます。
4つ目のメリットは発電した電力をすべて売却できることです。2020年に固定価格買取制度が見直され、10kW以上50kW未満の太陽光発電設備は自家消費分を除いた余剰電力のみ売電可能となりました。そのため、発電した電力のすべてを売却できません。一方、制度改正前に運用が始まった中古物件はこうした規制の対象外であるため、発電した電力のすべてを売電できるため利益を確保しやすいのです。
5つ目のメリットは許可申請や設備の設置といった手間がかからず、購入後すぐに収入を得られることです。新規に太陽光発電を始めようとした場合、土地の購入(または貸借)や太陽光発電設備の設置許可、周辺住民との話し合い、設備の設置工事など手間暇がかかります。それに対し、中古物件であればすでに存在している太陽光発電設備を購入するためこうした手間がかからず、購入契約後すぐに売電収入を得られます。
土地付き太陽光発電の中古物件を購入するときの注意点
高利回りでリスクが低い土地付き太陽光発電の中古物件ですが、注意すべきポイントもいくつかあります。
1つ目の注意点は、新規物件に比べると固定価格買取制度の適用期間が短くなることです。固定価格買取制度の期間は20年と定められているため、設置年度が前になればなるほど適用期間が短くなってしまいます。
2つ目の注意点は、設備の状態の確認が必須であることです。中古物件である以上、当然、経年劣化しています。前のオーナーの管理状況が悪ければ太陽光パネルにひびが入っていることもあるため、確認するべきは太陽光発電設備本体だけではありません。土地の地盤や雨水の処理、寒冷地であれば積雪等による土地への影響なども調べる必要があります。架台に損傷が見られたり、周囲が雑草だらけとなっていたりとさまざまな状況が考えられます。中古物件を購入する際は、自分で現地に赴き購入する価値がある物件かどうか確認したほうがよいでしょう。
3つ目の注意点は地域住民とのトラブルを抱えていないかどうかチェックすることです。太陽光発電設備をめぐって太陽光発電設備のオーナーと地域住民の間でトラブルが発生することがあります。代表的なトラブルは太陽光パネルの反射光トラブルやパワーコンディショナーの騒音に関するトラブル、電磁波の影響の有無を巡るトラブル、雑草に関するトラブル、土地の境界線に関するトラブルなどがあります。せっかく利回りの高い物件を購入できても、地域住民とのトラブルにより心理的なストレスや法的な問題の発生による思わぬコストなどが発生してしまうと大変です。そうしたトラブルが発生していないか、事前にしっかり調べておきましょう。
土地付き太陽光発電の中古物件を購入するときの流れ
土地付き太陽光発電の中古物件を購入するにはどうすればよいのでしょうか。まず、インターネット上で土地付き太陽光発電の中古物件を探します。条件に合う物件を見つけたら取り扱っている業者に連絡し、詳細について問い合わせます。業者との話し合いが進んだら、現地に赴いて購入希望の土地付き太陽光発電について確認しましょう。現場視察は非常に重要です。
現地に赴く前に、調べておきたいことを事前に整理しておくとよいでしょう。現場視察で問題なく、売却価格についても納得がいくものであれば契約します。契約時に資金調達が必要であれば銀行や日本政策金融公庫などと事前に話し合いを済ませておきましょう。契約終了後、運用が始まれば売電収入を得られます。
まとめ
今回は「土地付き太陽光発電物件を購入するまでにすることとは?流れを解説!」と題して中古の土地付き太陽光発電のメリットや購入時の注意点を中心に解説しました。利回りがよく有望な投資対象である反面、中古ならではの注意点もあるため購入前に慎重に検討しなければなりません。とくに、現場視察は非常に重要です。購入後にトラブルが発覚しても手遅れなので、事前にしっかりと調べて購入するべきでしょう。