東京でもよくおこなわれている太陽光発電投資ですが、ノーリスクというわけではなく、実際にはいろいろと気をつけるべきことがあります。
たしかに太陽光自体はどの場所でもある程度は確保できるので、日本各地で太陽光発電をおこなうことは可能です。
高い利回りとなっているので一見魅力的
太陽光発電投資は、他の投資と比べても高い利回りが大きな特徴となっており、中には利回りが10%以上となるものも存在しています。つまり、簡単に言えば最初に投資に利用した費用は、10%の利回りであれば10年で回収できるという計算です。
ただ部品の経年劣化は避けられないので、ある程度の年数が経過したときにパワコンなどの交換が必要となります。だから、実際の利益は10%の利回りだったとしても部品交換費用をそこから捻出するので、その分だけ減ってしまうということを理解しておきましょう。
また、太陽光発電で作った電気は固定価格買い取り制度を利用して20年間は同じ価格で買い取ってもらえるようになっています。したがって、他の投資に比べるとはるかにリスクが低く、安全な状態で、そして将来を予測した状態で投資をおこなえると評判です。現在では自宅で使う電気を賄う目的だけでなく、投資のために太陽光発電を導入する人も珍しくありません。しかし誰でも利益を出すことができるかといったらそうではなく、中には想像していたよりも利益が出ない人もいるので注意しましょう。
天候の影響で発電量が左右されやすいこと
太陽光発電は、今までは何にも活用していなかった太陽光を利用して発電するので、非常にエコな方法だと言われています。日本は南北に長い国なので、北のほうと南のほうでは全く気候が違っており、どこでも同じ気象条件というわけではありません。さらに日照時間も各地で違っているので、発電量にも大きな差が出てしまうこともたくさんあるので注意しましょう。
そもそも、太陽光発電は火力発電などのように発電量をコントロールできるわけではありません。また設置した太陽光パネルなどがもしなんらかのトラブルによって破損した場合、賠償責任が問われてしまう可能性もあります。もちろん日照時間に関しては発電効率の高いタイプのパネルを利用すれば、短い時間しか太陽光が照射しなくてもある程度の発電量は期待できます。しかし、ここ数年は異常気象が相次いでおり、予想外の状況になってしまう場合も少なくありません。つまり、太陽光パネルを導入したときに予想した発電量に満たない程度しか発電しない可能性があるといえます。
十分な発電量が期待できるのは、太陽光や気温などいろいろな条件がうまくそろっている場合に限っており、条件の何かが欠けてしまうだけでその発電量は減ってしまいます。また、雨が降るくらいであれば何も問題ありませんが、浸水してしまうと故障してしまう場合があるので気をつけなければなりません。さらに地震の被害に遭ったり、大雪に見舞われてしまったりする可能性もあり、シミュレーションどおりに発電しない場合もかなりの確率で起きています。
たしかに太陽光自体はエネルギー源としては魅力的ですが、自然のものだからこそ人間がコントロールできない難しさも存在しています。したがって、安定した発電量が期待できるとは限らず、破損、故障などのトラブルによって思わぬ出費がある場合も出てくるので、その点はこの投資の大きなリスクの一つだといえます。
ただ、このリスクに関しては少し工夫するだけでもある程度回避すること自体は可能となっています。前述したように、発電効率の高いパネルを利用すれば、少ない太陽光でも十分な発電量を期待できるようになるというのが一つです。また、広い面積で太陽光発電をおこなえる状況であれば、設置するパネルの枚数を増やすことで十分な発電量が期待できるようになります。しかしこれらの方法自体は確かに発電量は増しますが、性能が高いパネルを利用したり、パネルの枚数を増やすということは初期費用が高額になることに直結します。利回りの状態によっては10年で初期費用が回収できず、もう少し長い期間費やさなければならない場合も出てくることも理解しておきましょう。
期間限定の投資方法となる可能性
太陽光発電では、固定価格買取制度を利用して20年間はずっと同じ価格で電力会社に電気を買い取ってもらえるようになっています。発電量と月々の電気の使用量が分かれば、だいたいどれ位の利益が期待できるかは簡単に計算できます。ただ、あくまでもこの固定価格買取制度は20年間に限られているものであり、20年後にどうなっているかは全く分かりません。
もちろん短期での投資であれば、20年後のことなどは全く考える必要がないとも言えます。しかし太陽光発電投資は長期的に行う投資です。20年後のことが分からないというのは、とてもリスクがあることだと言えるでしょう。
現在、政府はできるだけ太陽光発電のコストを下げ、なるべくお得な状態で発電できるようにしていきたいとの見解を示しています。そのコスト自体は現在の主流となっている火力発電よりもコストが低いので、非常に魅力的だともいえます。また火力発電よりもコストが低くなるということは、電力会社としてもより安く電気を手に入れられるので、売電自体がなくなってしまうことはまずないと予想できます。
ただ、少し前までであればもっと高かった売電価格が、現在ではかなり安くなってきており、このまま売電価格は安く設定されていく可能性も否定できません。つまり、20年後の売電価格によっては、プラスマイナスゼロの状態になるか、ときには発電すればするほど赤字になってしまう可能性も出てきます。
一見電気をたくさん作れば作るほどお得な投資だと考えられてしまいますが、実は今後のことは何も分かっていません。もしかすると投資として今までと同じくらいかそれ以上の魅力ある商品となり得る可能性もありますが、反対にチャレンジするだけ赤字になるという可能性もはらんでいます。今後がどうなってしまうのか全く分からないというのは、太陽光発電投資を行うときのリスクだと言っても良いでしょう。ただ、確かに将来のことはよく分かりませんが、今から20年間のことは分かるので、期間限定の投資として利用すれば少しはリスクが減ります。
たくさん発電すればそれだけ利益につながる可能性もありますが、出力制限の存在も知っておかなければなりません。これは、電気の消費量よりも供給量が多い場合、発電量を抑えて消費と供給のバランスを取るための方法です。太陽光発電自体は他の発電方法よりも出力制限の対象になる可能性は低いのですが、全く対象にならないわけではありません。つまり、もし出力制限の対象となってしまった場合は、一時的に売電できなくなる可能性が出てきます。たくさん発電すればそれだけたくさんの利益が出てくるとは限らず、もしかすると発電しても無駄になってしまう可能性もあることを理解しておきましょう。
太陽光発電は自然のエネルギーである太陽光を利用した発電で、投資としてもよく利用されている状態です。しかし売電価格が20年後には変わってしまうので長期的な投資としては少々リスクが高いと言わざるを得ません。また天候によって発電量が大きく左右されるので、当初の予想を大きく裏切る発電量となってしまう可能性もあります。一般的にリスクが低い投資だと言われていますが、実際にはいろいろなリスクがあるので、その点には十分気をつけなければなりません。