太陽光発電をおこなう場合はいろいろと専門用語があり、それを知らないままだともしかしたら損をしている可能性もあります。
その一つが高圧が良いのか低圧が良いのかということですが、あまりよく分からないという人も実は少なくありません。
高圧と低圧では全く扱いが違ってくる
電気に関係する法律の一つが電気事業法ですが、ここでは50kw以上の高圧連系の発電設備を利用するときは、発電所という扱いになると定められています。一般的に家庭の屋根などで発電するときは自家用電気工作事物という扱いになるものですが、そうではなく発電所扱いとなるので生じる義務が変わってきます。
発電所扱いになった場合、変圧器を設置するなどして、電気工作物を安全に維持しなければなりません。また何より、高圧連系用の月額基本料金も電力会社の方に払う必要が出てくるので、今までとは出費が少し変わります。さらに発電所なので管轄の消防署などに保安規定を定めて届け出を出す必要もあるということを理解しておく必要があります。
また自家用電気工作物の場合は必要のなかった設備の維持のための電気主任技術者の選任もおこなう必要が出てきます。したがって、家庭で個人が発電をおこなうとしても、高圧を選ぶと従来に比べるとはるかに規制が厳しくなります。また電気主任技術者に年間契約料を払う必要があるので、その分の出費も自家用電気工作物扱いのときよりも増えます。反対に50kw未満の低圧連系の発電設備を利用する場合は、電気事業法では小出力発電設備という扱いになります。したがって発電所扱いになるわけではなく、一般用電気工作物という位置付けになります。維持管理のための届け出を出す必要もなければ、電気主任技術者を選任する必要もなく、その契約料ももちろん発生しません。
知っておきたいメリットデメリット
太陽光発電はその設備によって種類が分けられていますが、一概にどちらのほうが良いということはいえません。それぞれにメリット、デメリットが存在しているので、実際に導入する際はそれぞれのメリット、デメリットを理解してから選ぶようにします。
まず、高圧連系の大きなメリットは 、システムの単価が比較的安くなっているので、設備を導入する費用を抑えることができるということです。また、そもそもたくさんの電気を発電することになるので、売電による利益率はかなり高くなることが期待できます。しかしデメリットとしては、あくまでも発電所という扱いになってしまうので、どうしても設備の管理が必要となり、導入時の手続きも複雑です。また管理費用もどうしても発生してしまうので、売電によって得た利益の一部は手数料や契約料などとして消えてしまいます。
反対に低圧連系のメリットとしては、保安規定などの届け出をする必要がなく、手続きも簡単におこないやすくなっています。また、設備自体が大掛かりではないので、工事期間が短くて済むだけでなく、導入にかかる費用も抑えることができます。とはいえ、1kwあたりのシステムの単価はどうしても高くなってしまいがちで、さらに発電量も限られています。その発電システムの規模によっては、あまりたくさんの利益が期待でいない可能性があるということも否定できません。さらに50kwギリギリまで発電できるようにしようとすると、ある程度の場所が必要となるため、必要に応じて土地も用意しなければならないことになります。
このように、発電量や初期費用、さらに工事期間や手続き、設置後のランニングコストなどから、どちらが良いとは一概にいえない状態です。したがって太陽光発電をおこなう場合は、これらの点をよく理解したうえでどちらを選ぶのかしっかりと検討してから決定する必要があるといえます。
どれくらいの規模で発電したいのか
太陽光発電投資をおこなう場合は、どれくらいの規模で発電したいのかということで選ぶべきシステムの規模が変わってきます。ただ、現時点で太陽光発電投資をおこなうという場合、高圧のものを導入すべきなのか、低圧のものを導入すべきなのか分からないという人も少なくありません。また実際に工事を依頼する業者に相談してみても、いろいろな意見があり、結局何が良いか分からないという場合も多々あります。その場合は高圧低圧それぞれのメリット、デメリットを見ておくことも重要ですが、もう一つ、初期費用にも目を向けておくことが必要となってきます。
高圧の場合は発電所扱いとなるので、変電設備が必要となりますが、それをキューピクルと呼びます。太陽光発電の場合は専門のキューピクルや、パワーコンディショナーと一体になっているタイプなどがあるので、それらから選ぶことができます。ただ、この価格は最低でも100万円以上はかかってしまい、さらに発電設備が大きくなればなるほど高額になっていく傾向です。したがって、高圧連系にする場合は、低圧では必要ないキューピクルが100万円、電気主任技術者の契約料が1年で50万円、 電力会社への費用が21万円と、少なくとも1年目は170万円以上のお金を払うことになります。つまり、できるだけたくさん電気を発電しなければ、費用分を完全に回収できるまでの期間がどんどん長くなっていってしまうというわけです。せっかく太陽光発電投資で利益を出そうとしても、なかなか利益を得ることができなくなってしまいます。
低圧連系にする場合は、高圧連係ほどの初期投資は発生しませんが、その分発電量も少なくなってしまいます。また、キューピクルの金額や契約料などを考えると低圧のほうがお得ではないかと考えられますが、同じ土地で複数設置することは基本的にはできません。もちろん設備を設置する時期をずらせば不可能ではありませんが、その都度工事が必要となります。では結局どちらのタイプを選ぶべきかというのは、自分自身がどれくらいの量を発電したいかということで大きく変わってきます。したがって、シミュレーションをしっかりとおこない、費用と利益を計算したのちに自分の理想にどちらが合っているかを判断して最終的に決定するようにします。
太陽光発電投資をおこなう場合は、高圧連系にするか、低圧連系にするかを選ぶ必要がありますが、それぞれメリット、デメリットがあります。またそもそも法律上も全く扱いが違う設備となってしまうので、手続きや安全管理に対する責任、取り決めも全く違います。もちろん導入するための費用やランニングコストも大きく変わってくるため、どれくらいの発電量を期待しているのかということでも選ぶべきシステムが変わります。つまり、一概にどちらのほうが良いということはできず、その設備を導入する場所の広さや日照時間、さらに予算などでも適しているものが変わってきます。したがって何が合っているかを判断するためにはまずは見積もりを取り、さらにシミュレーションをおこなってかかる費用や利益をよく計算してから比較検討します。またそのときはただ単に利益を計算するだけでなく、利益率もよく見ておくことが太陽光発電投資をおこなう場合のポイントです。