太陽光発電投資は失敗しにくい投資方法としてよく知られるようになりましたが、大損をしてしまっている人もいないわけではありません。投資におけるよくある三つの事例について、事前に防ぐことができるのか、そして、それが投資の成功につながるのかを考えてみましょう。
シミュレーション通りに資金回収ができない
太陽光発電投資を始めるときには太陽光発電システムの設置業者に依頼して土地とシステムを手配してもらうのが一般的です。どの土地を手に入れるか、その土地にどのようにして太陽光発電パネルを設置するかといった点は収益に直結する重要なポイントなので業者と綿密に相談して決めることになるでしょう。
太陽光発電に関するプロである業者に最適な設置方法を考えてもらったうえで、発電量に関するシミュレーションをしてもらうのが通例です。この土地にこのように設置すると費用がこのくらいかかり、発電量はこのくらいになると想定されるといった形でデータを出してくれます。
いくつかの候補を挙げてもらって比較し、初期投資額やメンテナンス費用、年間の発電量などを加味して最も良いものを選んで依頼するというのが基本です。そして、契約を交わして工事をおこなってもらい、いざどのくらい発電できるかと見てみるとシミュレーション通りにはならないというトラブルが発生することがあります。
このくらいの平均発電量になるという形で見積もってもらっていたときにはシミュレーション通りにはならないのはある意味では当然です。季節や時間帯、天候や気温などによって発電量は変化するため、ある瞬間、あるいはある一日の発電量が想定した量に満たなくてもおかしくはありません。
ただ、一年間くらいの期間を通して発電量を見てみてもシミュレーションで算出されていた発電量に比べてかなり低いということもあります。冷夏で雨量も多く、夏だけ見れば発電量が少なかったということはあり得ますが、その代わりに秋に天候が安定して日照が多く、年間を通してみると日照量にはあまり大きな差がないのが一般的です。
そのため、年間のトータルで生み出せる電気量がシミュレーションに比べて大幅に少ないという場合には業者の見積もりが誤っていた可能性が高いでしょう。すると必然的に計画していたようには資金回収ができなくなり、ひどい場合には初期投資額を取り戻せなくなってしまうことすらあります。
このような問題は業者の力量、経験、そして実績が不足しているために引き起こされています。最新のシミュレーションシステムを持っているから安心ですという業者もありますが、新しいということはそのシステムを使って本当に実態に合っていたかを検証したこともあまりないとも考えられるでしょう。結果として現実に合わないシミュレーション結果を出してしまい、想定よりも電気を作れないということに陥るリスクがあるのです。
それに対して、長年太陽光発電システムの導入を担ってきて実績がある場合には、同じような環境での事例におけるデータから発電量を見積もってくれます。太陽光発電パネルの劣化によって発電量が低下していくことも加味してシミュレーションしてくれることもあるでしょう。
このような実績のある業者を選び出しておけばトラブルを防ぐことができます。そして、計画通りに資金回収をすることができ、太陽光発電投資を成功に導けるでしょう。
周辺環境の変化による発電量が低下する
太陽光発電投資を始めるときにはできるだけ日照量を豊富に稼げる土地を選ぶのが基本です。広大で開けている土地が安く手に入るとなるとすぐに飛びついて投資を始めようと思いがちです。
そして、運用を開始したまでは良かったものの、突然発電量が低下してしまって困ることがあります。慌てて現場に行ってみると太陽光発電システムに隣接する土地で高層マンションや高層ビルなどが建築されているというのが典型的なトラブルです。太陽光発電パネルは太陽光が当たらなければ発電できないので、建物の陰になってしまうとその時間帯は発電量が激減します。
南側に大きな建物ができてしまうと日中の最も発電できる時間帯にあまり日が当たらなくなり、一日平均の発電量が半分以下になってしまうことも少なくありません。周囲が建物に囲まれた場合にはさらに状況が深刻で、ほとんど電気を作れなくなってしまうケースもあるでしょう。
このような周辺環境の変化は事前に防げることはあまりないのは確かです。今は周囲は全部空き地になっていても、所有者が突然土地活用を始めようと考えてマンションを建てるかもしれません。売地になっていた場合には買い手が見つかり、ビルを建てることもあるでしょう。一軒家が立つだけでも場所によってはパネルがかなり陰になってしまって発電量が減る可能性があります。
一般的にはこのような周辺環境の変化は予測するのが困難です。ただ、周囲に高い建物が建つリスクが高いかを判断することはできます。例えば、その地域の都市計画が立てられていて、来年度には庁舎が隣に引っ越してくるという場合もあるでしょう。住宅地化が計画されていて高層マンションが建つ予定になっていることもあります。このような自治体による計画の有無を確認してトラブルを防止するのは重要です。
それに加えて地域的な人気も考慮して選ぶと向こう数年の間に大きな建物が建つ可能性はかなり低くなります。ベッドタウン化が進んでいたり、企業の移転先として選ばれるようになったりしている地域では周辺で建築が進められるリスクが高いでしょう。しかし、過疎化が進んでいる地域の場合にはあまりリスクはありません。
むしろ、当初の想定よりも発電量が増える可能性すらあります。例えば、西側はビルが建っているけれど安い土地だからここにしようと選んだところ、投資を始めてから数年でビルが解体されることもあり得るのです。すると西側からの太陽も当たるようになって発電量が想定よりも増えることになります。このような将来的な変化を可能な限り予測するのが投資失敗のリスクを低減させることにつながるでしょう。
災害によって大きな損失が生まれる
太陽光発電投資のトラブルとして最も致命的になりやすいのが災害です。地震や津波、大雪などによって太陽光発電パネルが破損するリスクがあるのは確かで、修理のために費用がかかるだけでなく、修理が終わるまでは発電できないことになりかねません。災害については現代でも正確に予測することはできないため、完璧な形で回避することはほぼ不可能です。
ただ、分散投資をして損失を最小限に食い止めることはできます。同じ地域の土地を使用するのではなく、遠く離れた複数の地域の土地を使って投資すれば、たとえあるエリアで地震が起きても、残りは無事な姿で稼働し続けてくれるでしょう。このような分散投資をすることで大きな失敗は回避することが可能なのです。
太陽光発電投資のときにはトラブルが起こるリスクはありますが、内容によっては未然に防いで投資の失敗を回避することが可能です。災害のように予測が難しいリスクについては避けがたいものの、業者の良し悪しによって引き起こされる問題や、周辺環境の変化などについては予防できるでしょう。安易に業者や土地を決めてしまうとトラブルが起こりやすくなってしまうので、起こり得る問題を予測して慎重に決めるように心がけましょう。