太陽光発電での投資を検討して、インターネットなどで情報を調べていると詐欺が多くて失敗することがある、実際は儲からないなどの噂を目にすることがあるかもしれません。実際はどうなのでしょうか。ここでは太陽光発電にまつわる噂や真相、事前対策などについてご紹介します。正しい情報を仕入れてきちんと対策を練りましょう。
太陽光発電投資でよく聞く噂とその真相
太陽光発電は実は非効率で環境にも良くない、土地を所有している人だけが儲かる投資だなどのネガティブな情報がたくさん出回っていますが、真相はどうなのでしょうか。
■始めても失敗する?
どんな事業でも同じですが、無計画に始めた場合失敗につながることが多いです。太陽光発電も同様で、たとえば売電収入を予測しないで事業を開始してしまい、維持管理費やローンの返済が滞って赤字になってしまう可能性もあります。
ただ、どの太陽光パネルを採用するか、どの土地で始めるか、資金調達の方法や返済計画、収支のシミュレーションなどをひとつずつ検討して準備していれば、黒字化を目指すことも可能です。太陽光発電投資では、発電量のシミュレーションが可能なため、設置予定地を検討する際に場所ごとにどの程度収益が期待できるか確認できます。
■詐欺が多い?
実際、詐欺被害はゼロではなく、訪問販売でモニターと称して安く購入できると見せかけて相場よりも高い費用を請求したり、実際にはない物件を売りつけて、契約金などをだましとったりする被害が報告されています。ただし、詐欺の実例があるからといって、太陽光発電投資自体が危険とはいえません。詐欺を回避するためにも、実績のある販売会社や設置会社に相談したうえで設置を検討しましょう。
■儲からない?
どのような投資でも同じことがいえますが、条件次第で儲かるか儲からないかは変わります。しっかりと調べたうえで自分が納得できる条件であれば投資を検討しましょう。
■すぐに寿命が来る?
メーカーによって見解は異なりますが、一般的な太陽光パネルの平均寿命は20~25年、パワーコンディショナーは10~15年です。どちらも10年間の瑕疵保証がついているものがほとんどなので、10年以内の故障であれば無償で代替品が受け取れます。11年目以降のものは代替品の購入が必要になりますが、これは投資の段階で考慮すべきコストです。また、有形のもので寿命や劣化がないものはないため、できるだけ寿命が長くなるよう丁寧に使いましょう。
■発電量が不安定
太陽の光で発電するため、発電量が不安定になってしまうのはしょうがないことですが、雨の日や曇りの日にも発電は可能で、蓄電池を併用することで一定の売買量を確保することはできます。発電量を安定させるための工夫もできるだけでなく、設備の性能が少しずつ向上しているので、不安定さをカバーすることは可能です。
■自然環境を破壊している
一部の太陽光発電が自然環境に影響を与えているのは事実ですが、すべてが当てはまるわけではありません。太陽光発電だけでなく、さまざまな建物や施設は開拓や造成を繰り返した土地を利用しています。環境破壊につながるかどうかは事業者の行動によっても変わってきます。設置を検討する際に、周辺の自然環境とのバランスを考えるのも一つの方法です。
■単価が下落傾向
FIT(固定価格買取制度)の買取価格は年々下落していますが、同時に設置費用も下落しているため利回り10~8%程度で利益を維持することが可能です。使用機器や立地、保険などさまざまな面を見極めることで黒字化する可能性が高まります。
詐欺やウソがあるのも事実
投資商品としての知識が広がっていないことや、購入価格が一般化できないことなどが原因で悪質な業者による詐欺やウソは存在します。実例について見ていきましょう。
■ウソの説明で契約
実際の発電量より多く水増ししたシミュレーションを提示して確実にもうかるように見せたり、定期的なメンテナンスが不要で手間がかからないとウソの説明をしたりすることで、購入後に契約者が損害をこうむることになります。また、利益が見込めない土地を購入して設備を設置し、赤字案件であることを伝えずに売りつける悪質なケースもあります。
■架空のファンドに投資
架空の太陽光発電所に出資を募って、出資金をだまし取る詐欺の手法です。太陽光発電所自体が存在しないため、出資しても配当金ももらえず、出資金も戻ってきません。出資先が信頼できる健全な母体かどうかを調べてから投資を検討しましょう。
■相場より高い工事費を請求
太陽光発電は一度導入してしまうと、何度も導入しなおす必要がないため、初期費用について詳しく知らない人が多いです。一般的に100万円いじょうの設置費用がかかりますが、初心者や未経験者が適正価格を見極めるのは難しいです。また、見積書に記載されている専門用語を理解していないことも多く、相場より高額な費用をだまし取られるケースがあります。
■モニター商法による詐欺
電話勧誘や訪問販売で多い手口ですが、モニターになってもらう代わりに安く投資ができると提示して、契約を進めるケースです。モニター価格として割安で購入できるように見せながら、実際は相場より高い価格で取引が行われます。
■計画倒産
契約後、設備費用等を支払った後に、業者が計画倒産して行方がわからなくなることがあります。この場合、最初からだまし取る計画で契約させたので、明らかに詐欺にあたりますが、立証することが難しいため支払ったお金を取り戻せることは少ないです。
しっかりと事前対策をしておこう
太陽光発電投資に関しては残念ながらウソや良くない噂があります。だまされないためにどのような点に注意が必要か見ていきましょう。
■シミュレーションの内容
・日射量
正確なシミュレーションの結果は日照時間ではなく日射量で計算することで得られます。日照時間は単に太陽が出ている時間で、発電量を左右する光の強さが反映されていません。一方、日射量は光の強さと面積と時間をかけて算出される数値のため、より正確なシミュレーションが可能です。
・影の損失
発電量を下げる影の影響を考慮せずに算出してしまうと、実際の発電量と異なる数値が出る場合があるため注意が必要です。影の損失もシミュレーションに含まれているかによって、業者の信頼度が測れます。
・発電ロス
通常、パワーコンディショナーで電流を変換する際には発電ロスが生じます。ロスの数値は2~5%程度ですが、長期的また規模で見ると大きなロスにつながります。また、真夏など温度上昇によっても発電ロスが発生します。温度上昇を想定したシミュレーションが行われているかも要チェックです。
■メンテナンスは必要
メンテナンスフリーの設備を販売している業者もありますが、実際には設備は10~15年程度で劣化が進みます。定期的なメンテナンスをすることで、経年劣化を遅らせることも可能なので、定期的なメンテナンスを実施してくれる業者に依頼することをおすすめします。
安定した収益が見込めるといわれる太陽光発電投資ですが、歴史も浅く情報量が他の投資手法と比べて少ないため、信頼できる業者を見極めることが必要です。また、詐欺やウソの被害に遭わないための事前の対策もしっかりしておきましょう。太陽光発電投資に関する正しい知識を身につけていくことが何よりも重要です。